【エッセイ〜No.1】母の日

母の日で思い出す。

美容師の見習いをする為に、札幌で初めて一人暮らしを始めた16歳の頃。
一人暮らしをして初めて手にしたお給料。
そこから生活費を仕分けて、残りはわずかに残った自分の使える分。
それを持って向かった先は近くのダイエー。
僕は母の日のプレゼントを買いに行った。
何を買うのか、迷う時間はかなり長いのに、体感時間ではあっという間だったりする。

小さい頃から母の日には何かしら贈っていたけれど、一人暮らしを始めると、自分は大人だからしっかりした物を贈ろうと子供ながらに思っていたんだろうと思う。

しばらく悩んだ末に選んだ物は
「FENDI」の上着
なんとなく聞いたことのあるブランドで大人はこれだろうと勝手に思っていた僕。
いくらだったかは忘れてしまったけど、自分の使える分のお金を全部それに使った。
でもね、大人になって気づいた。

お母さんごめんなさい。
それはきっと偽物だ。笑

大人になってからそれを伝えた。
だけど母は、着もしない偽物のFENDIの上着をいつまでもずっと捨てずにクローゼットにかけている。

今だからよくわかる。
母にしてみたら物自体はきっとなんでも良かったんだと思う。
きっと母は、僕が自分の使える分のお金を我慢して、それを全部使って、長い時間かけて選んだ物だという事が想像できてたのかもしれない。

僕の母はその当時ではまだ少なかった、いわゆるシングルマザーで、男3人を育ててくれました。仕事を3つ掛け持ちして、朝から晩まで働いていました。そんな苦労している母を毎日見ていたので、立派な物を贈りたいと当時の僕はきっと思ったのでしょう。

子供を持つ親の気持ちは僕にはわかりませんが、シングルマザーの親を持つ子供としてはわかる事がある。

きっと、母の為に何かしたいと思ってる人はたくさんいます。
「親孝行しなくちゃ」
と思ってる人も沢山います。
けれど、タイミングだったり、経済的な事だったり、そういった事で機会を逃してしまう事はよくある事です。
でもそれは、親を蔑ろにしているわけではありません。

昔、母に言われた事があります。

「何もしてくれなかったとしても、親に何かしてあげなきゃ、と思ってくれた事自体があなたの親孝行なのよ」

と、そう言われました。

今まで、きっと子供には言えない事や大変だった事がたくさんあった事でしょう。
きっとそれは計り知れないものだと思います。

今は以前よりシングルマザーの方はたくさんいると思います。それで子育てをして、家事をして、精一杯仕事をして。

僕はそういった方々を尊敬しています。
自分には絶対真似できないです。

長い文章になっちゃいましたが、思い出深い「母の日」なので、今日はそんな事を思い出しました。

みなさんにとって
「母の日」が
素敵な日でありますように…

masakijin
この記事を書いた人
北海道岩見沢市出身の名古屋在住の中卒美容師/現在は名古屋丸の内でプライベートサロン的な美容室coupe(クープ)を開店し営業してます/定期的に札幌へ行きユメハコビという個人プロジェクトを実践しています/ビリヤード、ダーツ特訓中/遊ぶことが好きです/エクスマ90期/
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